2011/07/02

星を追う子ども 感想

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ようやっと地元の映画館にまわってきたので見てきました

新海誠監督の過去作はひと通り見ています
今回の新作も楽しみにしていました
その上での感想ということでひとつ

新海作品というのをひとまず横に置いておいて
作品単体としての評価をひとことでいうと、
「ジュブナイル系の冒険活劇として、まあまあよかった」といったところでしょうか。

ジャンル的に、こういう作品をやれば、必ず「ジブリ」と言われ比較されて、相当厳し目の評価が付きやすことをまず考慮して、贔屓目にみればかなり頑張った方だと思いたい。
もちろんビジュアル的にもシュチュエーション的にもジブリ作品と似通った部分があるし、あからさまに「シュナの旅」からの引用と思われる箇所があって、気にはなるのだけれど。
というかあえて似てしまうことや、イメージを拝借することにあまり頓着していないのではないかとすら思えた、「ジブリ風作品」をあえて目指していたのなら、むしろ成功と言ってもいいくらいだろう。
ただそれを差し引いても、時代をぼかしながらも現代の日本を舞台にそこと地続きの冒険ものを組み立てている点や、冒険をしている時間的距離的感覚を描けている点など、案外この手の冒険ものをやる上で難しいことをクリアしている点などは評価したい。
テーマ的にも、生命の円環や喪失の受容といった、率直な物語としてまとまっている。
ただアガルタの奥へと進んでいく上で、森崎先生の動機がはっきりしているのに対し主人公の明日菜の動機がはっきりしないまま進んでいくので、その点で消化不良気味になってしまうのは、この作品の評価を下げるネックになってしまっているとは思う。

新海作品として見ると、過去作とは主題に共通性を残しつつも、得意技だった、感傷的風景描写と過剰なモノローグを封じて、物語性に特化し冒険ファンタジーに挑戦している事自体は評価できる。
自分の中でも前作の秒速5センチが評価が高いし、新海らしさ的にも、作品的にもそちらのほうが好きではあるけれど、連続で同じものを出されれば、それはそれでつまらないし飽きてしまう。
なので、作家的に作品の枠を広げようとする挑戦としても誠実だったのではないかと思う。

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