2012/04/02

10年という時代の変化の中での「あの夏で待ってる」と「おねがいシリーズ」


おねがいシリーズの黒田洋介と羽音たらく、「とらドラ」「あの花」の長井龍雪と田中将賀が手を組んだという時点で、自分的にはほぼ勝利確定の安牌作品で、出来も中身も予想や期待を裏切ることなく、とても満足でした。

最初から、おねがいシリーズの後継作品を匂わせつつ、要所要所で関連するネタも仕込んでいたので、ここでは感想というか、あえておねがいシリーズとの比較で「あの夏で待ってる」について語ってみようかと思います。

おねがいシリーズの二作、「おねがいティーチャー」と「おねがいツインズ」は、当時の美少女ゲーム、萌えアニメの隆盛の中でのアニメオリジナル企画としての、黒田洋介なりの答え的な意味を持つ作品だったのではないかと思います。
で、ティーチャーから10年の時を経て、作られた本作は、その後の時代の変化を受けたものになっていた、と言うよりは、よりおねがいシリーズが持っていた要素が純化した作品になったのではないかと思う。
おねがいシリーズは当時の萌えアニメ的な文脈で作られているために、お色気要素、サービスシーンが露骨とまでは言わないけれど多い。
それに比べると夏待は、その点に関して非常に抑制的に作られている印象がある。
加えて夏待は、作品の持つムード、ストーリーが、青春モノの方に大きく傾いいて、如何にも美少女!ハーレム!萌え!的なアクが抜けきっている。

これは監督の長井龍雪本人やその過去作からの流れも関連する事かもしれないが、もともと「美少女アニメ」という枠に黒田洋介が持ち込みたかった、「青春モノ」の要素を加えて作られたおねがいシリーズが、十年経って、夏待で「青春モノ」という要素だけで作品を成立させることができるようになった結果なのではないだろうか。
おそらく、黒田洋介的には、夏待と、おねがいシリーズ二作で、構成要素の多少の違いはあっても、やっていることはそう違わない。
だが、もし、十年前の時点で、この「あの夏で待ってる」がそのままで作られていたとしたら、多分地味すぎてだれも見向きもしない作品で終わっていたかもしれない。
そういう意味で「あの夏で待ってる」は美少女アニメの10年という時代の変化を感じることのできる作品でもあったかもしれない。



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