2013/06/03

言の葉の庭 感想

新海誠監督の最新作ということで見て参りました。
基本、新海監督の過去作品は概ね見ている上での感想となります。


まず端的に結論から

好き嫌いは別にしてとてもよかった。
作品としてはあまりケチのつけどころが見当たらないくらい、きれいにまとまっていた。
唯一難癖を付けるなら、新海作品として、極まっている分、保守的で冒険がない、といったくらい。

です。

内容的には、完全に恋愛物で、過去作品から引き継いだテーマの繰り返し、語り直しなんだけど、キャラの設定と配置が、年齢差、立場の差のある男女の関係の物語に置き換えられて、余計な要素が削り落とされた分、無理なく、シンプルに、解りやすくなっている。
シナリオ的にも起承転結がはっきりしていて、短編映画として綺麗にまとまっている。
脚本にやや難ありと思っていた過去作と比べても、ここは飛躍的に良くなっているのではないかと思います。
恋愛物としても、社会に出て躓いた大人の女性と、夢を追いかけながらも迷いを持つ高校生の男の子の関係を描いていて、デートムービーとしてもほぼ完璧なんじゃね、という作り。

短歌、足フェチ、靴、雨、都会とその中にある不釣り合いなくらいに緑あふれる公園のあずま屋、例によって叙情的で執拗な情景、風景描写、これらの織り成すエロティシズム、ロマンティシズムにあふれた映像美は、新海誠の真骨頂で、極まっている。
新海作品としてはぐうのねも出ない、出来なのではないかと思います。

だからこそ逆に冒険しているところがない、守りに入った作り、と感じてしまった。
なのでその分あんまりこの映画で語ることがない、と言えばないという。
まあ前作の星を追う子どもがけっこう冒険してたので、今回はまあ安心して新海誠監督のいいとこ全部見れたという意味で、悪くはなかったのかなあ、と。


同時上映の短編もよかったです。
こっちも社会に出て躓いた女性が主人公の話で、本編と合わせて見ててムズムズするモチーフなんですが。


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