2014/01/28

アイドルマスター劇場版 輝きの向こう側へ 感想

初日初回、舞台挨拶ライブビューイング付きで見てまいりました。

とりあえず本編の感想なのですが、見るまでは正直期待半分、不安半分でした。

製作決定の発表を受けてからの公開までの期間の短さ、一年弱は短すぎるのではないか、という不安。
もう一つ、TVシリーズが物語的にも作画演出的にも高いレベルで完成されていたので、それを受けての劇場版、TVシリーズのその後の物語、ということで、TV版と同等、あるいはそれ以上のものを、同じ「アイドルマスター」で実現できるのかという不安。
さらにミリオンライブからの新キャラ参加でどうなるのか。
といった不安を抱えつつも、TVシリーズを作ったスタッフには厚い信頼もあるし、やっぱり大好きなアイドルマスターの新作を見たい、欲しい!という純粋な期待というか欲求は高かった。

それだけに自分の中でハードルを上げすぎてがっかりしないようにするのに無駄に必死でした。


で、結果なのですが不安のひとつは的中
作画が・・・・・orz
ところどころ怪しい場面や間にあってないなあというカットがちらほら
それもクオリティが低いというより、やっぱり時間が足りてないなあという感じで、もったいない。
折角できるスタッフが集まってるのだからもっと時間をあげてじっくり作ればいいのに、と思ってしまいました。

ただ、不満な点をあげるとすればむしろそれだけ、あとはほぼ満足といっていい内容でした。

時間といういう問題でクオリティに期待できないかもという点でむしろ不安に感じてたのは、作画的な面よりも、TVシリーズで実現していた、それぞれのキャラに配慮したきめ細やかな描写、演出が削がれてしまっているのではないかということだったのだけれど、それは全くの杞憂でTV版同様、それは徹底していて、隙がなかった。

そんなわけで、後はストーリーを存分に楽しむことが出来て、そこはよかったなと。

でストーリー面については、TVシリーズの到達点からそれを受けての765プロの物語としてとても良く出来ていた。
一本の映画として物語のまとまりもよく、おそらくTVシリーズ未視聴でも問題なく楽しめるのではないかと思うのだけれど、TVシリーズを見ていれば、それぞれのキャラの各シーン、セリフ、その時の思いが、TVシリーズを経てのキャラの成長と積み重ねによって生まれた意味合いの深さを含んでいて、ズンと心に響いてくるという仕様になっていて、ちょっとしたシーンやセリフでもウルウルきてしまう。

また今回ミリオンライブから新規キャラとして7人、その中でも矢吹可奈をドラマの中心に据えたのも功をそうしていた。
765プロのアイドルのみでは、TVシリーズ以上のドラマや成長を描きづらいところに、新規キャラ、アイドルの卵、春香たちの後輩というポジションでドラマを担う役割をうまく果たしていた。

一番関心したのは本作のストーリーが上記の二点を含めた上で、TVシリーズラストで春香がたどり着いた結論、765プロのアイドルたちがが獲得した「765プロ」のあり方を、もう一度確認し前に進んでいくという物語になっていたということ、そしてそれがまさに「天海春香」の物語として見事に昇華されていた。


可奈のとった行為と結果は、プロとしてほぼ許されないことではないかと思う。
しかし、その可奈を春香は見捨てない。
「みんなで」「いっしょに」それが天海春香であり765プロだから

可奈の行為と結果からすれば、普通の物語なら、春香の優柔不断にも結論にも他のメンバーが異を唱えたり、反発してもおかしくない。
おそらく美希は今でも春香と正反対の考え方をしているだろうし、昔の千早なら志保の考えに近かったかもしれない。
でも美希は春香に口を挟まないし、千早は春香が出す答えを待っている。
それが何故なのかといえば、春香が出す答えを、765プロのメンバーは全員わかっているからなのだ。
TVシリーズでたどり着いた春香の出した結論、「みんなで」「いっしょに」なにも捨てることなく前に進んでいく、今度も同じ答えを春香なら出す、そしてその答えが自分たちを、そして765プロを今ここにある765プロにした答えであることを、みんな知っている。
だからプロデユーサーがリーダーとして選んだ天海春香の出す答えをみんなが待ち、その答えに、やっぱり春香の答えはそうだよね、と納得し、それにならうのだろう。


映画を見ていた自分にも春香が出すであろう答えがほぼわかっていたので、春香の優柔不断が少々もどかしかった。
「はやくはやく、可奈ちゃんののとこに直接行ってお話きいてあげてー」と思っていたのが、なかなかそこまでいかず、ずるずる結論を引き伸ばしたあげく、ようやっと会いに行ったら、あんなことになってしまっていて、それをみた瞬間
「いやいや可奈ちゃんそれはあかんわーないわープロとして許されんわー」とドン引きしてしまった。
しかし、それをみてもブレない春香さんはさすがやでーと思いながらも、ちょっとモヤモヤ
でも「私は天海春香だから!」と言われてしまうと
「うん、はい」というしかないくらいに、作品が積み上げてきたテーマとキャラの強さがそれを押しのけてしまうくらい強固で、道理が引っ込んでしまうというなかなか不思議な味わいを感じていた。

加奈ちゃんがちょっと損な役回りになってしまったけれどあそこまで追い込まないと、おそらく春香の「みんなで」「いっしょに」の思いの強さ深さが際立たなかっただろうなーとも思う。


「天海春香」がリーダーで主人公でなければおそらく納得出来ないこの物語の結末。
「私は天海春香だから!」という予告でも使われていた印象的なフレーズは、まさにこの映画そのものを表していたといってもいいくらい、この物語は天海春香の物語だったといっても過言ではないかと思う。


さて、作品の核心部分としては、こんなものだけど、他にも美希の春香に対するライバル心とか、雪歩の成長とか、伊織の役どころの美味しさとか他にも語るべきポイントは多々あるのですが、とりあえずこんなところで。

ただ今回やっぱり思ったことは、765プロメンバーだけではもう完成されてしまっているので、今後アニメを作るとするならミリオン組を出していくことは必要だなあ、と感じました。







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